2021/06/23 23:52

会場に見える方たちが話題にすることが多いのが、このなりはひひいながた〜清掃業〜です。考えてみれば私たちは皆掃除をする人です。自分の身の回り、家の中、仕事場・・・職業人としての専門の人がいてくれますが、一人一人が生まれながらに清掃者であるとも言えます。見る方たちはうっすらと自分を重ねてこの作品を見る、ということもあるのかと思います。
画面を収斂するかのように左下から右上にかけて大胆に上に伸びる帯状の先にはモップや掃除機で掃除をする人がいます。構図の面白さに惹かれて目を下から上にやるとそこには掃除をしている人がいる、なんだか飄々とした雰囲気ですが、ある意味心地よく私たちの気持ちをなぞってくれているようにも感じます。
日常の細々した瞬間を俯瞰して見る面白さ、それを古典のひいながたのスタイルに則って、手描き友禅という手法でいくつもの段取りを踏んで丁寧に完成させている作品群、どうぞいつの日か実物を体感する機会をお持ちください。